アナトリーに頼まれた店の評判の聞き込みを行うが、有益な情報は得られないでいた。
そんな中、ひたすらに声をかけているとようやく情報らしい情報を持っている男に出会うことができた。
男が言うにはどこかで店は既に廃業したと聞いたが、具体的な情報は覚えていなかった。
礼を言って別れ、とりあえず報告しにアナトリーの元へと戻る。
アナトリー「よお、どうだった」
ワシ「ああ、実は――」
ワシは男から聞いたことをそのままアナトリーに報告する。
アナトリー「……なるほどな。俺のことをよく思わない誰かがこの店を潰そうとしているってことか」
ワシ「かもな」
アナトリー「ただ、そいつが誰なのかまでは何もわからなかったんだよな」
ワシ「覚えてないそうだ。もう少し聞き込んでみるか?」
アナトリー「悪いが、もう少し情報が欲しい。頼めるか?」
ワシ「あいよ相棒」
最初は罪滅ぼしのつもりで始めたが、やはり人に頼られるのは単純に嬉しいし、生きていると実感できる。ワシは引き続き調査を続行することにした。
2回目の調査ではすぐに情報を持っている人に話を聞くことができた。
運もこちらに味方をしているようだ。
男が言うには、以前に行ったフリーマーケットでその話を聞いたとのこと。人が集まるところだったのでこの話を聞いた人はたくさんいるだろうと。
よし、伝えに戻るか。
ワシ「アナトリー、どこで噂が広まっているかを特定したぞ」
アナトリー「マジか。で、どこだったんだ?」
ワシ「噂を聞いた場所はフリーマーケットだそうだ。そこでアナトリーの店は閉店したっていうガセネタが出回ったらしい」
アナトリー「フリーマーケット? ……今はそういう風向きなのか」
ワシ「次はどうする?」
ワシは少しだけワクワクしながら次の指示を待つ。
アナトリー「いや、相手がわかっただけで十分だ。色々とありがとう。対策がわかったよ」
ワシは気合を入れていただけに肩すかしをくらう。
ワシ「いいのか? 噂の張本人を特定したり、それをやめさせたりとか」
アナトリー「いや、今回はここまででいい。相手が個人ではなく組織だってことがわかったからな。特定の誰かを問い詰めたって焼け石に水だ。ここから先は商売の話になるだろうからな」
ワシ「そうか、それならいいんだが」
アナトリー「アンタはよっぽどのお人好しらしいな。そしたら……そうだな。今度は別件で頼み事をしてもいいか?」
ワシ「いいね。何をしてほしい?」
アナトリー「この店のすぐ近くにスパルナっていう女が店を開いたんだ。何でも屋っていう名に恥じない品揃えと安さが売りの店さ。ここの店が繁盛しなくなったのはその店があることも一因だと思ってる。ここにちょっとしたプレゼントをおくってやろうっていう話さ」
ワシ「プレゼント?」
アナトリー「まあ、簡単に言うと嫌がらせしてやろうっていう話さ。何かネズミとかそういうのをな」
ワシ「おいおい」
アナトリー「期待して待ってるぜ。ほら、行った行った」
半ば追い出される形でワシは店を出る。
さて、どうしたものか。いくら同士の頼みごととはいえ悪いことをしているわけでもない顔も知らない人に悪さをするのは流石に気が進まない。
もやもやした気持ちを抱えながら、なんとなくその店に足を運んでみることにした。
スパルナ「いらっしゃい!」
そこは小さな個人経営店だ。見たところこの女性が一人で営んでいるようだ。
店内にはアナトリーの言うとおり様々な商品が陳列されており、そのどれもが比較的に安価だった。
ワシ「噂でここの店のことを聞いてね。品揃え豊富だと言うもんで少し見に来たんだが、確かにすごい品揃えだ。これを一人で管理するのは大変じゃないのか?」
スパルナ「ええ、確かに大変ではあるけど、その分やりがいもあるわ。お客さんにも良くしてもらっているし、楽しいからこそ続けられているのよ」
スパルナは活気に満ちており、楽しそうだった。まあ、それが本心なのか、接客用の顔なのかはワシには判断できなかった。
ワシ「……邪魔したな。また来るよ」
スパルナ「ええ、楽しみに待っているわね」
ただの冷やかしだったのに笑顔で見送ってくれる。
会話をしたことでワシの中のもやもやは更に大きくなってしまった。
ワシはこの気持ちをどうしたらいいのだろう。
答えがでないまま、ワシは歩き続けた。
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・バッドステータス
◯全パラメーター−10(永続)