売人のアジトに戻ったワシはそのままキティのラボに直行する。
キティ「戻ってきたね。体調はどう?」
ワシ「悪いところはない。というか、いや、そういうことを話に来たわけじゃ……」
キティ「悪いところがないならいいよ。一応、こっちでも調べるからそこに座って」
ワシは手伝いを断るためにここに来たはずだが、なし崩し的にまた手伝うことになってしまいそうだ。
言わなければならないとはわかっているのに、何故かワシの声帯は声を発することを許さない。結局いわれるがままにワシは椅子に腰掛ける。
キティ「……」
キティが真剣な顔でワシの顔やら手首足首を舐めるように見てくる。
キティ「とりあえずは大丈夫そうだね。いい感じ。じゃあ、さっそく始めよう」
キティが注射器を取るために背中を向ける。
話しかけるのは今が最後のチャンスだ。
ワシ「……あ」
キティ「ん?」
ワシ「……いや」
やはり、ここでもワシは声を出すこと叶わず。これは……意思とは関係のない力が働いている?
キティ「ほら、腕出して。チクっとするよ」
再度、ワシの腕に熱い液体が流れ込んでくる。
ワシ「ああああぁぁぁ……」
キティ「どんな感じ?」
ワシ「……熱い、けど、なんかさっきよりトゲトゲしい感じはしない」
キティ「なるほどなるほど」
キティが前回見たときと同じノートに何かを書き込んでいる。それをしばらく見ている。ときどき質問も来るのでそれにも答えてやる。
ワシ「なあ、これで最後か?」
キティ「いや、まだだよ。でも、次で最後でいいかも」
次で最後か……じゃあ、あと一回くらいは手伝ってもいいかもしれない。
ワシはそんなことを思った。
¥¥¥残金:5703クラウン¥¥¥
・バッドステータス
◯中毒(軽度)