キティがいるという場所は薄暗いこの空間からさらに暗い地下へ続く階段を下ったところだという。
階段を下った先には扉が一つだけある。ここが目的地で間違いないだろう。
ワシは控えめにノックする。
ワシ「誰かいるか?」
すると、中からドタドタと音がして、勢いよく扉が開く。部屋の中は相当明るいらしく、開いたドアから強い光が漏れ出す。
キティ「ああ? 誰だお前?」
出てきた男はアジア系の体中に入れ墨が入った色黒で痩せている男だった。何かの作業中だったのか、表情から察するに少し疲労の色が見える。
ワシ「モイザーからの使いだ。アンタの手伝いを任された」
ワシがそういうと、訝しげだった表情が一点、キティは満面の笑みを浮かべる。開いた口から除いている黄色というか黒というかという色に染まった歯はすでに何本か失われていた。生理的に受け付けにくい。
キティ「え? マジか! 最高だ!」
ひと通り喜んだキティはいきなりワシの腕を掴む。
ワシは警戒して思わず掴まれた手を引っ込めてしまう。
キティ「大丈夫だよ。ここでの立ち話がなんだから中に行こうとしただけ」
ワシ「……了解した。連れて行ってくれ」
それなら口で言ってくれればいいのに、と思ったが言葉は飲み込むことにした。
キティ「さて、俺の特性ラボへようこそ!」
部屋の中は真っ白い電球に照らされた明るい部屋だった。そこら中に注射器やら謎の粉や葉が散乱していなければどこかの病室のように見えたかもしれない。
キティは部屋の真ん中にあるいかにもな手術用の椅子に座るよう指示してくる。ワシは渋々そこに座る。
キティ「よし、じゃあさっそくいくよ。腕を出して」
ワシ「ちょ、ちょっと待て。ワシはここで何をするかも聞いてないんだが!」
キティ「そうなの。ここでの手伝いと言えば新薬の被検体になってもらうことしかないよ。コレのことね。安全性も大丈夫なはずだからその最終調整って感じ」
ワシ「新薬の開発?」
キティ「そうそう。メタンフェミンとかよりいいもんが入ってる」
めちゃくちゃ帰りたい。が、ここまで来たらやるしかない。
ワシは覚悟を決めた。
ワシ「畜生、やるならさっさとやってくれ」
キティ「あいよ。打ったら感想聞かせてね」
ワシが覚悟を決めて突き出した腕に、キティは慣れた手つきで注射針を突き刺す。そして、中にはいった液体をワシの中に……そこでワシは見るのを止めた。
ワシ「ああああぁぁぁ……」
¥¥¥残金:5719クラウン¥¥¥
・バッドステータス
◯生命の危機(重度)
◯スタミナ低下(重度)
◯体調不良(重度)