マスターから教えてもらった情報によると、酒徒と呼ばれる者たちはどうやらここにいるらしい。
何かあると知っていなければ絶対に近寄らないような場所、そこに彼らは住んでいるようだ。
中に入ってみると、不法に占拠された空間が広がっており、焚き火のおかげだろうとても暖かく快適な空間だった。酒臭くなければより最高だ。
そこにいる者たちは誰もが明らかに酔っ払っており、まともに会話できそうなヤツは少ない。その中でも貫禄のあるヒゲを蓄えた人物は比較的まともそうだと感じた(ここにワシが入ったことに気がついたのはコイツだけ)。
ワシ「よお相棒。ここはいいところだな」
カーディナル「まあな。ここは俺達の楽園だ」
ワシ「最後の酒宴ってやつについて調べてる。話を聞きたいんだが」
カーディナル「ああ。この下のホールで定期的に行われてる。今年の儀式はもう終わっちまったぜ。そんで、俺の記憶が正しけりゃあんたもそこにいたな」
ワシ「そうなのか……。実は、記憶が失くなっちまってな」
カーディナル「それこそ参加した証拠だ」
ワシ「そうか、ワシはここの住人だったのか?」
カーディナル「いや、あんたを見たのは今日で二度目だ。最後の酒宴は誰の参加も拒まない。ご新規さんも毎回参加してるよ」
ワシ「何か、思い出せるといいんだが……」
カーディナル「元気出せよ。あの儀式で記憶は失っても命を失わなかったことは敬意を払うを払う価値がある。これでも飲んで元気出せよ」
そう言ってカーディナルはラム酒を手渡してくる。
ワシはそれを受け取り礼を伝える。
これで頭痛の原因は判明した。ワシは最後の酒宴に参加して、記憶がなくなるまで酒を飲んだ。そうしてあのゴミ捨て場で寝ちまったってことらしい。どうしようもないがこれが事実だ。
ワシ「それにしても、これだけ人がいるのになんだか静かだな。なんかあったのか?」
カーディナル「ああ、最後の酒宴が終わったばかりだからな。みんな二日酔いに苦しんでるだけだ」
ワシ「それだけじゃないような……」
カーディナル「まあ、な。最後の酒宴で大勢死んじまったからな」
ワシ「なんだって? いったいどうして?」
カーディナル「色々嗅ぎ回った結果、あれは仕組まれたことだったらしい。偶然なんかじゃなかったんだ」
ワシ「なにがあった?」
カーディナル「教えてやりたいが、こりゃ秘密事項でな。悪いが部外者には教えらんないぜ」
ワシ「なら、ワシも酒徒になればいいのか?」
カーディナル「そうだが、酒徒ってのは簡単になれるものじゃない。外に出てる酒仙3人に認められる必要がある。まあ、覚悟があるならこの試練にチャレンジしてみることだ」
ワシはホームレス同士が助け合う必要があると思っている。それに、コイツにはラム酒を貰った恩もある。やることもないワシにとって人助けが生きがいだ。
ワシ「その試練ってやつ、受けて立つぜ」
カーディナルは「そうかい」と言いながら酒を飲み、試練に合格したらここに戻ってくるように言った。
ここにいる奴らの中にはもしかしたらワシのことを知っているヤツもいるかもしれない。望みは薄いがチャレンジする価値はありそうだ。
ワシ「ふん、やってやるぜ!」
そう言ってワシは教えてもらった酒仙のいる場所へと走った!
言葉どおり、話にならなかった!
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