第3回 ホームレスは助け合い、生きていく

 ハンチング帽の男から注意された後、ワシは街ゆく人に話しかけながらファーグリムを探す。

 反応はあまりよくないが、所持金も少なく生きていくためには仕方がない。途中、電話機や自動販売機の小銭入れを確認してわずかばかりの銭を手に入れたが全然足りない。

 そんな中、初めてまともにワシと話してくれる人と出会った。

ワシ「あ、あのう」

ツーブロックの男「なんだ?」

ワシ「!(え、ちゃんと返事くれるなんて)」

 ワシは返事が来るとは思ってなかったので驚いてしまい、次の言葉が出てこない。

ツーブロックの男「なんだよ。用がないならもう行くぜ」

 そう言って男は立ち去ってしまう。ワシはそれを呆然と見送るしかなかった。

 ホームレスに話しかけて反応を返してくれる人もいるのだ。話しかけておいてなんだがそんな人がいることを信じられていなかった。

 次はちゃんとどう会話を繋げていくか考えておかなければならないだろう。

 そんなこんなで地図のマークされた付近へと歩みを進める。この付近は住宅街のようで、ホームレスが住めるような雰囲気ではない。

 詳細な場所がわからないためしばらくウロウロしていると、一本の裏道にたどり着いた。直感的にその道を進むと、案の定手作りの段ボールハウスが目に入る。

 ここだ。

 ワシは段ボールハウスに向かって声をかける。

ワシ「こんにちは相棒。ちょっといいかい」

ファーグリム「なんだ、寝てるんだからほっといてくれ」

ワシ「ちょっと聞きたいことがあるんだが」

ファーグリム「あー、手短にしてくれよ」

 ファーグリムはワシの姿を見ると、めんどくさがりながらも話を聞いてくれる。

ワシ「最近この辺りであったパーティーのことを知らないか?」

ファーグリム「あったとしても、俺は招待されてないな。悪いが心当たりはないよ」

ワシ「そうか……」

ファーグリム「あー。だが、心当たりがありそうなやつなら知ってるぜ。ベアとシュラグならなんかしら知ってるかもしれないな。まあ、ベアは社交的なタイプじゃないからシュラグに聞いてみるのがいいと思うぜ」

ワシ「そうか! ありがとう。恩に着るよ」

 そう言ってファーグリムはシュラグの場所を地図にマークしてくれる。

ワシ「それにしても、なんで助けてくれる気になったんだ?」

ファーグリム「見たところ、お前もホームレスだろ? 俺たちはちっぽけな存在だ。だから助け合って生きていく。いま親切にしておけば、こんどは俺が困った時にお前が助けてくれるかもしれないだろ?」

 そう言ってファーグリムはニヤリと笑う。

ファーグリム「強く生きろよ」

ワシ「ありがとう。この恩は返せる時に返すよ」

 そう言ってワシはマークされたシュラグの元へと向かう。ホームレスは助け合い。ワシは今は何もできないが、何かできる時がきたらできる限り手伝おう。

 ワシはそう心に誓った。

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