マイズナーと別れたワシは、とりあえず言われた通りにファーグリムという男を探すこととする。
最初から持っていた明らかに手書きの大雑把な地図にはファーグリムの場所に印がついているが、これだけで辿り着けるとは思えない。
どこかで詳細な地図を手に入れる必要がありそうだ。
そう思いながらワシは廃品置き場出て、街へ出る。
これが「プラスラブ」か。初めてみるこの街はワシがさっきいた世界とは別世界のように感じた。ここではワシは部外者、そう思った。
しかし、ここで生きる術を身につけなければいずれ力尽きてしまうだろう。ワシは、ここで生きていくのだ。
とりあえずファーグリムを探さなければならない。ワシは街ゆく人に声を掛けて居所を知っているか聞くことにする。
ワシ「あ、あのう。少しお尋ねしたいんじゃが……」
ツインテールの女「お願い。あっち行って」
……なんということだ。目も合わせてくれない。
しかし考えてみればそれも当然かもしれない。今のワシの服装はどこからみても浮浪者まるだし!
服についてももう少しまともなものを用意しなければならないだろう。
その後もなんども話しかけてみるが、誰も相手にしてくれなかった。
そんな中、ワシと同年代の明らかに富裕層の男性があちらから声をかけてきた!
ハンチング帽の男「さっきから見ていれば、周りの迷惑だからやめなさい」
注意とはいえ、これはチャンスだ!
ワシ「あ、え……その。わ、ワシは……人を探していて」
ハンチング帽の男「誰を探している?」
ワシ「ファーグリムという男なんだが」
ハンチング帽の男「なんだ、ただの物乞いではなかったのか。ところで、そのファーなんとかという人物はホームレスなのか?」
ワシ「あったことはないがおそらく……」
男は大きなため息をつく。
ハンチング帽の男「ホームレスのことなど一般人が知っているわけがないだろう」
確かに! ワシは納得してしまい、それ以上言葉が出なかった。
ハンチング帽の男「わかったらあまり他の一般人に迷惑なことをしないように」
そう言って男は去っていった。
……ワシらホームレスに人権はないのか!
ワシは生まれ変わってから初めて怒りの感情を覚えた。しかし、男の言うことにも一理あるのは事実。
ワシはホームレスとして、あの男を見返してやると心に誓った。
それに、あの男からいくつか役に立つ情報も得た。
・物乞いでお金を得られること。
・声をかけやすいように服装をまともにすること。
・ホームレスのことは同じホームレスに聞くこと。
これらの情報はワシが生きるための金言だ。ワシは心に刻んだ。
よし、心を入れ替えてファーグリムを探そう。ワシは、どんどん成長する。そして、生きていくんだ。
¥¥¥残金:20クラウン¥¥¥