酒仙の3人が会話できないレベルで酔っ払っており、認められる認められないという以前の問題だ。しかも、酒仙と呼ばれるだけあって常に酔っ払っているようだ。まずは、あの状態でも話せるようになる方法を探す必要があるだろう。
そのことは覚えておきつつ、まず必要なこと。それは生きていくことだった。いま来ている服はところどころ破けていて風が入り放題。おまけにゴミ箱ダイブのおかげで若干臭いつつある。いつかは服を洗濯するか、新しい服を購入する必要があるだろう。
そのために必要なもの。それはもちろんお金だった。
手持ち残金は165クラウン。少なくはないが何かしてしまえば失くなってしまうような金額だ。
どう使おうか悩んでいたが、ふとあることを思い出しワシは付近のタバコ屋へ向かう。
おおお! ようやくこの街の詳細な地図を手に入れたぞ!
これまでの手書きの地図とは違い、街の詳細な情報がわかる! ありがたい!
ワシはうきうき気分で歩きつつ街ゆく人々に声かけをしていると、今日はいつもより声かけの成功率が高いことに気がついた。ここで、ワシは声かけの極意の一つにたどり着いた!
・人に声をかけるときは、相手の顔を見るようにする。
気がついてみれば当たり前だが、ワシはこれまでこれができていなかったのだ。今日は気分がうきうきだったため自然にできていたから成功率が上がったんだ。
新しい気づきに喜んでいると、ふと体中が震えてるころに気が付く。
まずい! 寒すぎる!
いつの間にか日が暮れていたようで、一気に気温体温ともに下がっていくのを感じる。
どうしようどうしようとあたふたしていると、マスターが話していた寒さを凌ぐ方法を思い出す!
ワシは急いで懐にあったどぶろくをとりだし、一気に飲み干す!
ワシ「むっほー!」
体温上昇! 気分高揚! やる気上場!
しかし、これはあくまでその場しのぎ……。このままでは凍えて倒れてしまう!
ワシはとある場所に向かって全力で走った!
ここは以前にマイズナーから教わったホームレスの溜まり場だ。ここなら無料で焚き火の暖をとれる。
そういえば、以前マイズナーに聞いた話だとここにドラックスという家具や便利な素材を取り扱う男がいるらしい。早速それらしき男に声をかけてみる。
ワシ「よお相棒」
ドラックス「俺はお前の相棒なんかじゃねえ」
同じホームレス相手だと会話するに緊張しないんだがなあ。
不思議に思いつつもワシは会話を続ける。
ワシ「まあまあ落ち着けって。ここで家具やら素材やらを取り扱ってる男前がいるってマイズナーから聞いたんだが。もしかしてお前さんがそうか?」
ドラックス「はっ。それは確かに俺のことだな。ここに家具やら素材やらを集めてるんだ。まあ、趣味ってやつだな。欲しいものがあるなら金次第で相談にのるぜ」
ワシ「それは助かるな。ちなみに、さっきからそこに見えてる犬はあんたの犬か?」
ドラックス「あんたにはコイツがここにポーカーでもしに来てるように見えるのか? コイツはポリス。俺の湯たんぽであり、大切な相棒だ」
ワシ「そういう相棒がいることは悪くないな。ワシにも見つけられると思うか」
ドラックス「ここを少し行ったところにランゴスっていう男がいるんだが、こいつならお前の相棒候補を紹介してくれるかもな」
ワシ「そうか。ありがとう、行ってみるよ」
犬と一緒に生活するってのも悪くないかもしれない。ペットは生きる理由になるってどっかで聞いたような気がするし。
そろそろ夜も開けて気温が上がり始める頃合いだ。
ワシはランゴスという男の下へと向かう。まだ見ぬ相棒を手に入れるために。
¥¥¥残金:170クラウン¥¥¥