ワシは金に困っていた。あまりに困っていたのでなんでも知っているという噂のマスターのもとに再び戻ることにした。
が、確実に居留守だろうが返事はなく、頼ることはできなかった。
そうしたら次に頼るべき男は彼しかいない。
ワシ「アニキ! 助けてくれ!」
マイズナー「俺はお前のアニキでもねえ。何に困ってる?」
ワシは定期的にやる気が激減すること、食べ物の確保手段がなく寝たり休んだりする場所がないこと。そして何よりお金がないことを相談する。
マイズナーは一見めんどくさそうにしながらも、一つ一つ丁寧に教えてくれた(口調は悪かったが)。
・やる気がないとき
→ゴミ箱ダイブで確保できる燃えさしを使って「リサイクルタバコ」を作り吸う。もしくは美味しいものを食べるか、タバコ屋で売っているお宝本を読む。
・食べ物の確保
→ゴミ箱から手に入る残飯と店で売っているロールパンを合わせて「グラブ(パンと各種食材の煮込み〜家無し風〜」を作ること。ちなみに、元コックのフェスターというホームレスが料理に詳しいらしい。
・休みたいとき
→拠点にベッドを置いて寝るか、公園とかにあるベンチに横になって休むことができる。ただし、そのままだと凍えるから段ボール寝具等を使って寒さを凌ぐこと。
・お金が欲しいとき
→労働局に行けば仕事を紹介してもらえる。
これは今のワシにとって天啓とも言うべき素晴らしい情報だった。
ワシ「ありがとうマイズナー。本当に助かったよ」
マイズナー「たく、世話の焼けるやつだ。いつかお前にも頼み事をしてやるからな。覚悟しとけよ」
もちろんと頷き、ワシはマイズナーと別れる。
まず向かう先は労働局だ。
ワシ「どうも、仕事を探しているんじゃが」
労働局「じゃあここに必要事項を書いて――はいOK。これがあなたのカードね。ちなみに、今は公共事業のゴミ拾いの募集がありますよ」
ワシ「あ、じゃあお願いします」
労働局「はい、場所はここね。終わったら報告しに来てくださいね」
結構あっさりと手続きができてホッとした。
指定の場所まで行き、ワシは清掃活動を頑張った。
移動時間も含めて30分とかそこらで清掃活動は終わった。ワシは労働局に報告しに戻る。
30分の対価は100クラウン。これだけでは生活できないが、今のワシにとってありがたすぎる収入源だ。仕事中に物乞い活動できるのもポイントが高い。
ワシ「他にも募集はあるかな?」
労働局「今はないですね。また明日きてください」
しかし、一日の募集は限られており、これだけでは生活費を賄うのは難しい。ランゴスの鉄くずバイトも併用していけばある程度の稼ぎになりそうだ。
そして、疲れた身体を休める方法もマイズナーから聞いている。今が実践の時!
少しだけだが、ほんとに久しぶりに睡眠を取ることができた。
段ボール寝具があれば外でも多少は睡眠が取れる。
ただし、流石に人目が気になることと、寒さが厳しいのもあってぐっすりとはいかない。拠点にベッドを設置して、焚き火の近くで寝れるようになれば完璧だろう。これは今後の課題の一つだ。
更に、腹も減ってきたのでマイズナーから貰ったグラブを食べる。少しだけ空腹が紛れた。腹4分目といったところか。
ここまで無駄のない完璧なホームレスムーブだ。素晴らしい。
気分が良くなったので、その後もお金を稼ぐために時間も忘れてひたすらに物乞いやゴミ箱ダイブに励んでいた。
ところで、最近の声掛けがうまくいかないことが増えたように感じる。
これまで以上に汚いものを見るような目で見られているような……そんな感じだ。
ランゴスに言われたとおり、この悪臭はなんとかするべきかもしれない。
しかし、ワシはこの問題の解決方法を知らなかった。ランドリーは見つけたことがあるが、服だけ洗濯しても身体の臭さはどうにもならないだろうし……。
よくわからないことはとりあえず放置する。この悪癖が悲劇を呼んだ。
ワシ「雨も降ってきたな……あれ?」
気がつくと、ワシは地面に倒れていた。
日も落ち、雨が降ってきたことによりワシの体温は急下降。しかも、長時間休み無しで動き続けていたから疲労も蓄積。それに気がついたことによりやる気も急に失せてしまった。さらにさらに空腹だし服も濡れてきた!
と、とにかく生きるために何か食べないと……。
ワシは大切に取っておいたパンを全て食べつくす。すると、腸内活動が一気に盛んになる。
……やばい、トイレに行きたい気分だ。人として、アレを漏らすわけにはいかない……。
人としてのプライドが、あらゆる問題を差し置いてトイレに行くということを優先順位の最上位に位置づける。
ワシは公衆トイレを目指して歩き始めた。
¥¥¥残金:40クラウン¥¥¥
・バッドステータス
◯体力減少(生命の危機)
◯スタミナ低下(重度)
◯体温低下(重度)
◯士気低下(重度)
◯悪臭(軽度)
◯便意(軽度)