酒徒グループの投票を得るまであと一歩。
クリアすべきは頼み事一つと最後の試練を残すのみだ。
まずは頼み事を解決すべくカーディナルに事情を聞くことにする。
ワシ「というわけで、ザッヒから事情を聞くようにって指示だ。ワシは何をすればいい?」
もはや熟練のアサシンみたいな口調になっているが、やっていることはただの人助けだ。
カーディナル「そうか、ついにあの件に手を出すのか……」
カーディナルはなぜか一瞬悲しそうな顔になるが、すぐにもとに戻り内容の説明を始める。
カーディナル「実は、もともと廃駅付近は酒徒の縄張りだったんだが、嫌な連中に占拠されてしまったんだ。それを解決してほしい」
ワシ「状況から察するに、その連中がヤバいやつってことか?」
カーディナル「まあな。占拠してる奴らはここらで有名な密売人のグループだ。違法なことに手を染めてる頭のネジが何本も抜け落ちてるような奴らだ」
ワシはどこかでそのグループのことを聞いたことがあった。確か……そう、あれは物乞い王の話をヘロルド(第17回参照)に聞いた時だ。物乞い王への投票権を得ている8人のウチの一人だったはず。
ワシ「なるほど、ドラッグディーラーグループか。確かに危なそうだ。ただ、ワシが物乞い王になるためにはいつかはそいつ等とも話をする必要があるんだ。そのいつかがたまたま今日だったってだけの話だ」
カーディナル「個人的に私はアンタのことを気に入っている。決して無理するなよ」
ワシ「おう相棒。任せておけ。ちょっくら行ってくるわ」
いくらなんでもいきなり殺されるようなことはないだろう。ワシはそうたかをくくり、まずは占拠されているという場所へ向かう。
教えてもらった場所は今の酒徒のアジトと同じくらい暗く湿った場所だった。行き止まりの道を突き当たりまで進むと左手にぽっかりと暗い入口がある。もともとは駅の待合スペースのような扱いだったのだろうが、駅が廃線となった今はだれも寄り付かない絶好の隠れ場所と言える。
ワシがそこに近づくと、入口に立っていた男と目が合う。挨拶しようと手を上げかけるが声をかける前に男は中に引っ込んでしまう。
見張りまで立ててるなんて……今まさに何かヤバいことをやっている最中じゃないよな?
だとしたらタイミング最悪だが、ここで引き返すのはあまりにも不自然すぎる。もう行くしかない。
入口まで行くと、中で一人の男が待ち構えていた。
ワシ「よお、ここはいいところだな」
クロール「失せな」
のっけから取り付く島もないと言った感じだ。ただ、ワシにとってそれは日常茶飯事だ。この程度で挫けていたら物乞いで生きていくことはできない。ここからが腕の見せどころだ。
ワシ「実は酒徒に依頼されてここに来たんだ。なんでもここはもともと奴らの住処だったんだろう? なんでいきなり占拠したんだ?」
手札の開示、からの質問コンボで会話を途切れさせないという戦法だ。大抵の相手ならこれでこちらのペースに巻き込むことができる。
クロール「もともとは、だろ。今は俺達の場所だ。モイザーからここに居座るよう言われたんだ。だからこんな場所でキャンプなんかやってんの」
ワシ「モイザー……ね。じゃあ、そっちに直接交渉してみるよ。場所を教えてくれるか?」
クロール「バカが。教えるわけ――いや、まて。アンタ、最近噂になってる人助けジジイか?」
なんだそれは。
ワシ「いや、始めて聞いたが……まあ、最近いろんなところで人助けはしてる」
クロール「……いいだろう。場所を教えてやる。ほら、ここに行け。キティさんの手伝いで来たって言えばすぐにとおしてくれる」
ワシ「そうか、ありがとう」
表情から鑑みるにまともな事をやらされるわけではなさそうだが……まあ、まずは話を聞いてみて、それから考えるとしよう。
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◯なし